会長挨拶

ごあいさつ

小西先生

                  日本キヌア協会会長 小西洋太郎(畿央大学教授・大阪市立大学名誉教授)

 

「日本キヌア協会」の設立にあたり、一言ごあいさつを申し上げます。

キヌアはかつて南米アンデス地方に栄えたインカの人たちの重要な穀物として食され、現在でもペルー、ボリビアなどで栽培されている栄養価の高い食材です。タンパク質含量は米の2倍以上もあり、必須アミノ酸組成もすぐれ、カルシウム、鉄、亜鉛などの微量栄養素も豊富です。

このような特性から1975年アメリカ科学アカデミー(NAS)は、将来有望な36種類の低利用資源植物の一つにキヌアを選び、開発を奨励しました。その目的は、開発途上国の農民が生態系を維持しながら、自分たちの身近な生物資源を持続可能な農業に組み入れることによって、くらしの向上を図ることでした。また、1992年アメリカ航空宇宙局(NASA)はキヌアを宇宙時代の食料として、さらに、FAOは2013年を国際キヌア年と定め、キヌアが飢餓、栄養不良、貧困の撲滅に重要な役割を果たす作物であると提唱しました。この年には日本でもペルー・ボリビア政府、FAO日本事務所主催による国際シンポジウムが開催され、マスコミでも大きくとり上げられ、キヌアは健康によい食材として認識されるようになりました。

さて、わが国では過去40年間、いわゆる食の欧米化や食のグローバル化が進み、肥満、高血圧、糖尿病などの生活習慣病が増え、その対策として食生活の改善が叫ばれています。また、少子高齢化社会が加速し地方の過疎化や農業力の衰退が危惧されています。高度情報化社会の落し穴ともいえる人間関係・コミュニケーションの希薄化も大きな問題となっています。

私たちは、数千年前から南米アンデス地方で受け継がれてきた、古くて新しい有用作物キヌアを通じて、社会貢献として何かできることはないかについて議論し合い、このたび「日本キヌア協会」を立ち上げました。その設立の趣旨とは、わが国においては、キヌアの普及活動(栽培、調理・加工法など)、健康的な食生活の構築、農業の活性化、地域振興、食農教育、そしてそれらに携わる人たちのQOLの向上をテーマとして掲げ、活動することにあります。また、キヌアはグローバルな食材ゆえに、生産国であるペルー、ボリビア等との人的交流、文化交流、情報交換など連携を図ってまいります。

「日本キヌア協会」は産声を上げたばかりです。この趣旨にご賛同いただける方々のご協力とご支援をよろしくお願い申し上げます。

2016年2月20日